Web広告で新規顧客を集客してECサイトの売上が上がったときの話

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化粧品ECサイトを5年間運営して

化粧品ECサイトの新規集客に一番効果があったのはGoogle広告でした。
自身で運用して売上、成果が実際に上がった結果からそう思います。
他の広告を上手く使えなかった、取扱商品の特徴などあるかもしれませんが・・・。
現時点では少し古い情報となりますが、誰かの役に立つこともあるかもしれないと思い記載します。

現状の確認と既存顧客からの掘り起こし

僕が化粧品ECサイトの運営に携わるようになったのは2017年のことでした。
サイトの売上を改善したいと依頼を受けたのが始まりです。
取り扱っている商品は過去にTV番組で紹介され、当時は出荷、生産が間に合わないほどの受注がありました。
ですが、TV効果が薄れるにつれて新規受注が減少し、限られた愛用者、定期購入者だけが購入してくれている状況となっていました。
引き継いだ時にはその定期購入者も徐々に減少しており売上は下がる一方でした。

まずは過去に購入歴のある既存顧客からの掘り起こしとして
・購入回数
・購入金額
・購入時期:直近1年以内、2年以内、3年以内など
それぞれの数字から顧客をランク分けし、高ランク、見込度の高い顧客に向けて郵送DMによるアプローチを行いました。

DM内容は
・再購入に対して割引キャンペーン
・購入履歴のない商品のサンプル同梱

結果としては
・現在も購入してくれている人がキャンペーンを利用して追加購入
・DMが届かず返送されてくる人が想定以上に多かった(引っ越し、結婚など)
・離脱顧客の再購入はほぼ無し
一度でも購入しながら離れたお客様からの掘り起こしは難しいとの結論に至りました。
これは自分の肌に合う・合わないが、購入する・しないに直結する、商品特性上の問題もあったかもしれません。

新規集客にWeb広告を検討

ECサイト開始時点からWeb広告を広告会社に外注していたことを知りました。
Yahoo!とGoogleにそれぞれリスティング広告を出していたそうです。
そういえば毎月キーワードやクリック単価といったExcelデータの報告書が来ていました。
ほぼ効果のないままに、効果を検証することもなく垂れ流していただけでした。

キーワード、広告文面の見直しを行い、外注先に見直した内容を反映してもらうことから始めました。
そんな中、依頼元からWeb広告の外注を辞めると聞かされました。
Web広告に新規集客の希望を見ていたのにと思っていたら、以後のWeb広告運用を任されることになりました。
Web広告のことを何もわからないままで戸惑いながらもやるしかない状況でした。
外注先の担当の方が親切で、広告アカウントの引継ぎ、初期設定についてしっかり教えてくれました。

Yahoo!広告とGoogle広告

引き継いだ当初は前任の外注先さんと同様にYahoo!広告、Google広告の両方に出稿していました。
キーワードを自身で選定し、そのキーワードに合った広告文言、そしてその広告文言からの着地点となるランディングページと全体の流れを見直しました。
その結果、Yahoo!広告で承認されないことが多くあり、Yahoo!広告への出稿は辞めました。
Yahoo!広告は薬事法のお手本になると言われるくらい表現に厳しく、使いたいキーワード、伝えたい内容に対応させることが難しく断念しました。
キーワード、広告文言が承認されない、そこを改善してもランディングページにNGワードがあるとダメ、ランディングページからNGワードを取り去ってもサイト全ページで判断されてNGとなったり。
そうなるとサイト全体で商品の訴求に制限がかかることになるので辞めました。
Google検索の利用率から、Google広告だけで市場の9割はカバーできると判断しました。

Googleを理解する

Google広告を出稿していると、Google広告側の担当者から無料のサポートを受けられます。
担当者は数ヶ月おきに交代するようです。
現在の広告に対して改善点を教えてくれたり、新たな出稿方法を教えてくれたりします。
担当者によってレベルにバラつきがあり、提案してくれた内容がイマイチな時もあります。
提案内容に変更し「自動学習が安定するまで様子を見て」と言われることがありますが、自身で判断してダメと思ったら元に戻したほうが良いです。

Googleは入力された検索語句に対して表示するサイト、その順番を最適化する仕組みがあり、学習により常に最適化が行われていると理解しています。
検索結果として表示したサイトをユーザーが訪問し、各ページ、上から下までを時間をかけて読めば検索結果として最適であったと認識し、逆にサイトを訪問しても即離脱、サイト内各ページを見ない、下までスクロールして読まないなら、その検索語句に対して望ましい検索結果ではないと学習し統計とともに最適化していると思います。
さらに各ユーザー個別のデータも加味されて、同じ検索語句でもユーザーによって異なった検索結果が表示されるので、本当に奥が深いと感じます。

Google広告あれこれ

当初は検索広告だけで運用していました。
キーワードの完全一致、部分一致、クリック単価、日予算を調整し、週単位、月単位で効果を見ながら調整していました。
ECサイト内各ページにGoogleタグを埋め込み、顧客のカート決済金額をコンバージョン値として計測していました。
ECサイト管理画面から売上金額、内容、顧客属性を含めて分析していたので、新規購入、リピート、離脱もわかりやすい状況でした。
今思えば、当時はGoogle広告と実売結果を照合しながら調整していただけでした。
ECサイト実売上金額に対する、Google広告費用は約10%で運用していましたが、費用対効果は十分良かったと思います。
後に効果を分析するためにアナリティクス、サーチコンソールを使うようになりました。

Google広告の担当者と打ち合わせる中で新たな出稿方法を知ることが出来て、いろいろ試したこともありました。
最終的には新規流入に効果的だったキーワードを部分一致とした検索広告と動的検索広告の2種類の出稿で落ち着いていました。
後追いとなるディスプレイ広告も途中で辞めました。
動的検索広告はサイト内にある語句と検索語句が一致した場合に表示される広告で、自身では思いつかない検索語句での新規流入が見込めました。
ランディングページとなるサイト内の商品説明やコンテンツ中の語句で引っ掛かりが出てくるため、内容を充実させることも必要です。
広告文言、コンテンツを含めた広告評価を上げることで、入札単価勝負ではない広告運用が行えます。
化粧品絡みのキーワードでは1クリックが5,000円、1万円といった入札単価が存在していました。
ビッグキーワード過ぎてここから特定商品の購入に繋がるとは思えませんでした。
勝手な想像ですが広告予算を消化することに意義があるようなメーカー、もしくは広告会社さんかなと思ったり。
こんな入札単価に勝てることは無いので、独自のキーワード、広告品質を上げることに取り組みました。

キーワード部分一致で出稿していると、多数?の他社商品広告出稿している広告会社?さんから、固有商品名称のキーワード除外設定依頼が来ます。
検索結果の1ページ目は全て自社が広告する商品の検索結果にしたいという広告会社さんや、自社取扱商品名を使われたという勘違いでの依頼です。
当初はこちらが意図して表示させているものではない、Google広告に言ってくださいと返答していた時もあったのですが、さっさと除外設定して済ませたほうが楽だと気づいてからは即除外して「除外しましたよ」と対応していました。
逆にこちらから他社に除外を依頼したことは一度もなかったです。

個人情報保護による規制で顧客を追うことが難しくなる流れはありましたが、個人を特定しない識別子なるものによってGoogle広告の優位性は保たれているようです。
スマホとPCで横断的に検索、CVに至ったユーザーも判別できるようになり、Google広告の有効性を確かめるのに役立つようになりました。
スマホからの流入、購入が90%を超えていましたが、PCと併用して自宅、外出先で検索、購入に至るユーザーも見られました。
金土日の購入は少なく、購入時間帯が夜、もしくは朝が多かったことを思い出しました。

Google広告では広告を表示する対象ユーザー範囲を選択することができました。
男性、女性、年代、DINKSといった選択や、買い物好き、美容好き、車好き、旅行好きといった趣味、嗜好に基づいた属性の選択肢がありました。
商材に合わせて適切な選択を行えば、より効果的な広告配信が行えると思います。

ECサイトの運営

Google広告の成果を高めるためにも、サイト内容を充実させることが必要と感じ、商品のコンセプトや商品説明の文言を常に最適化していました。
検索語句⇒広告文言⇒ランディングページの流れで離脱しにくい構成を考えると、ランディングページの内容を変更する必要性もありました。

また購入方法やお知らせなど、ユーザー目線でわかりにくいところは表示方法や説明の仕方を工夫しました。
一次受けとなるコールセンターを外部委託していたので、電話でのお問い合わせは一旦外部対応してもらっていました。
折り返しの詳しい回答が必要な場合は、各担当者に質問内容を送って回答をもらいお客様にメールで返答、もしくはコールセンターから返答してもらいました。
お客様からの問い合わせや疑問、ご意見は氷山の一角と捉えて、その回答内容を商品説明に追加したり、お知らせに追加するなどサイト内で伝える工夫も行いました。

もう1品のおススメをするために購入商品とは異なる商品のサンプルを同封して発送したり、リピートいただいているお客様には紹介キャンペーンのチラシを同封するといったアナログな努力も行いました。
このような対応ができたのは発送倉庫が関連会社であったことと、そのオペレーションまでを僕自身が行っていたこともあります。
発送倉庫のスタッフさんがよくできた人たちだったので細かな要望に応えてくれていました。

当時でもすでに遅かった感はありましたが、ECサイト内にお客様からの商品レビュー欄を追加しました。
レビューはその商品を実際に購入したことがある人のみ行えるようにし、レビュー投稿でポイントをプレゼントしました。
よくよく自分に置き換えても、自身も新しい商品を購入する時は他の人のレビューを参考にするので必要と感じました。
レビューの中にはネガティブな内容もありましたが、その内容への対処、回答という形でレビューに対するコメントも行っていました。
内容によっては美容部員、インストラクター、商品開発者に回答内容をアドバイスしてもらうこともありました。
そうすることで新たな購入検討者への後押しになればと思いました。

Google広告出稿内容とECサイトの連動

コンバージョンに至らない検索語句は除外キーワードに追加していき、新たにコンバージョンに繋がったキーワードは部分一致キーワードとして追加していきました。
広告文言もキーワード追加に合わせて変更し、キーワードと広告文、ランディングページの組み合わせの見直しも何度も行いました。
組み合わせを何種類か作っても、Google側で成果の良いものを選択しているのか、どれか一つの組み合わせの表示回数が他より多いことがよくありました。

また広告からECサイトに遷移するのではなく、その商品に特化し作成したランディングページに遷移して購入に促すことも行いました。
いかに購入までのページ遷移を少なくするか、迷わせない、即買いを促すといった意味があったのでしょうが、商品の特性上、じっくり考える人が多かったようで直接的に販売には寄与しなかったように思いました。
化粧品という肌に直接つけるもので、安価とは言えない価格帯の商品だったので、購入前に試してみたいというお問い合わせがよくありました。
そこで、それまで問い合わせがあれば提供していた無料サンプルを商品として並べてみることにしました。
Google広告でも広告文言やランディングページで訴求しました。キーワードで「無料」や「サンプル」を設定せず、むしろ除外キーワードとして設定しました。

お一人様、同一世帯につき一度限り、送料も無料として提供し、その無料サンプルのお届けから1ヵ月以内の商品購入に割引特典を付加しました。
無料サンプル、送料も無料、初回購入割引と費用はかかりましたが、この施策は新規購入者増に非常に効果がありました。
本商品購入後は定期購入(割引あり)に繋げるチラシの同梱、お友達紹介で紹介者も紹介された方もポイントがもらえるキャンペーンチラシを同梱などで、着実にお客様を増やしていくことができました。

無料サンプルですが、名前や住所を変えて複数回にわたって請求してくる人がありました。
それがオークションサイトやメルカリで売られていたり・・・
ここはシステム的に対処するのが難しかったので、ECサイト管理画面からサンプル請求者を抽出し、過去に同一と思われる人はいないかという確認を日々行っていました。
提供するサンプルを発送するためのセット組も行っており、腹立たしさもあって毎日しっかり確認していました。
同一とわかった人は注文キャンセルを行い発送しませんでしたが、発送が無いことに問い合わせがくることはありませんでした。

Google広告の成果

ECサイト運営、Web広告を引き継いで5年が経過した時、売上は引き継いだ時の約3倍となっていました。
広告費率は相変わらず売上金額に対して10%で推移していました。
広告費を10倍にすれば売上も10倍になるかも!と思ったことはありましたが、確信も確証もありません。
化粧品は消費、リピートがありますが、他社商品へ流出する人は必ず現れます。
こちらも他社から流入してくることで新規顧客が増えるのですから当たり前のことなんですが・・・。
他社への流出がある中で売上を上げていくには、その流出数、金額を上回る新規流入を得なければなりません。
また出来る限り他社への流出を防げるよう、日々の運営をしっかりすることが大事と思います。

どんなに良い商品、良いサイトを作っても、誰にも知られなければ無いのと同じです。
世の中には良い商品も良いサイトもたくさんあります。
まずは知ってもらう、認知してもらわないと選択肢の土俵にも上がれません。
その意味でもWeb広告に取り組むことは大事だと思います。
24時間、365日、関連性のある検索語句を入力した人に営業をしてくれます。
ECサイトに手を加えたり、いろんな施策を行いましたが、成果に繋がる顧客を呼び込んでくれたのは間違いなくGoogle広告でした。
自社商品、自社ECサイトをお持ちの企業であれば、外部に依頼するのではなく、自社・自身で取り組んでみることを推奨します。

その他取り組んだSNS広告

【Instagram広告】
フォロワー数が1,000人以上のインフルエンサーと呼ばれる(自称?)人に商品プレゼント企画を宣伝してもらい、商品認知を促し、プレゼント当選者にInstagram投稿をしてもらう企画を行った。
プレゼント目当てのフォロワー数は増えたが商品販売には繋がらず。

【YouTubeでの商品紹介】
配信者が界隈では有名な人だったので、その界隈の信者さんが購入してくれるようになった。

自身の結論として、インフルエンサー、配信者頼りなのかなと思いました。
ここは理屈ではなく共感に近いような。
自身で販促として取り組むのは難しく感じました。

安易な割引販売はしない

何かキャンペーンと言われると割引、セット割引の話が出てきていました。
割引販売をしても需要の先食いをするだけで、その月の売上は増えても翌月からの売上が減ったり、また割引するかもと買い控えられたり。
キャンペーンという割引はしないほうが良かったなぁと感じました。

おわりに

インターネットという大海原に釣り針を落としてみる。
ポイントを探して、釣れる仕掛けを考えて・・・
好きな人にはおもしろいと思います。

こんな文字だらけのページを最後まで読んでいただきありがとうございます。

※アフィリエイト広告です。


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